このBlogでは、時事問題、特に政治的なトピックは書くまいと決めていた。しかし、橋田夫妻のことだけは触れずにいられなくなった。ジャーナリストとして、明確な覚悟と目的意識を持って、仕事の中で散っていった橋田信介さんは間違いなく侍だったし、その夫人である橋田幸子さんは既に日本にはいないのではと思わせてくれる、古き良き時代の侍の妻であり母だ。日本による戦渦の思い出をいまだに引きずるアジアに長く関わってきた僕は、これまで日本人であることを(カネを持っていること以外には)誇りに思うことがあまりできずにいたが、この橋田夫妻がいることで、まだ日本はサムライの魂を持っていると胸を張ることができる。
息子さんがジャーナリストを目指して、そしてイラクに行くと言ったらどうするか?という質問に対して、幸子さんは迷うこと無く「止めません」と言った。それが息子の望む道ならば、と。
こんな潔い心根を持つ母親を、僕は映画の中でしか見たことが無い。
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